相続不動産の売却における「代償分割」とは?手続きの流れや注意点を解説

相続不動産の売却における「代償分割」とは?手続きの流れや注意点を解説

この記事のハイライト
●相続した不動産を売却する場合、「遺産分割協議」が必要
●遺産分割協議では相続人と遺産の確認をおこなった後、遺産の分割方法について協議する
●遺産の分割方法には現物分割・換価分割・共有分割・代償分割の4種類がある
●代償分割は不動産を残しつつ遺産を平等に分割できるが、代表者に資金力がなければならない
●代償分割では遺産分割協議書の書き方が他の分割方法とは異なり、代償金の計算や支払いもおこなう必要がある
●代償分割を選択する際は、遺産分割協議のやり直しができないこと、遺言書が見つかったらその内容に従うことに注意する

遺産を相続した場合、相続人が複数いる場合は、遺産をどのように配分するか決める必要があります。
遺産の分割方法にはいくつかの種類があり、それによって手続きの内容が変わってきます。
今回はそのなかでも「代償分割」に着目し、相続した不動産の売却の流れから、遺産分割協議の手順、代償分割の手続き方法まで解説いたします。
南森町・大阪天満宮・天神橋商店街・天満・北区エリア周辺で不動産を相続する予定のある方は、ぜひご参考になさってください。

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この記事の執筆者

このブログの担当者  片桐  弘貴

関西外国語大学卒業後、国内大手観光業運営会社に入社する。
日本のおもてなしの心の偉大さを学ぶ。
約6年間サービスに対する考え方や、技術を学ぶ。
その後、大手不動産会社に転職。不動産仲介や購入・売却の分野に携わる。
培ったサービス力を不動産業に活かし、年間約100件以上の不動産購入や売却案件のサポートを行ない、現在までに約1000件以上の案件をまとめてきた実績を持つ。
リピーターや大手法人の顧客も多数抱える。


相続した不動産を売却する流れとは?

相続した不動産を売却する流れとは?

全体像を把握するために、まずは相続した不動産を売却する際の流れを見ていきましょう。
相続した不動産を売却する場合は、以下の8つの流れに沿って進めます。
①死亡届を提出する
被相続人が亡くなられた場合は、死亡から7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。
病院や介護施設から死亡診断書と死亡届を受け取り、必要事項の記入と署名・捺印をおこなったうえで提出しましょう。
②遺言書の確認
次に遺言書を確認します。
遺言書があるのとないのとでは、この後の流れが大きく変わってきます。
遺言書が遺産分割後に見つかると、最初からやり直しとなるため、見落としがないようきちんと確認しましょう。
③相続人の確認
遺言書がない場合、誰が法廷相続人になるのかを確定させなければなりません。
被相続人の戸籍謄本から、出生から死亡までの記録を洗い出し、相続人を確定させましょう。
④遺産分割協議をおこなう
相続人が確定したら全員で集まり、誰が何をどの割合で相続するのか話し合いをおこないます。
この「遺産分割協議」については、のちほど詳しくご説明します。
⑤不動産の名義変更をする
相続した不動産を売却するために、被相続人から相続人へ、不動産の所有権の名義変更をおこないます。
これを「所有権移転登記」といい、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。
⑥不動産会社へ査定と仲介を依頼する
相続した不動産の所有権が相続人に移ったら、不動産会社へ相談し、査定依頼をします。
不動産会社からの査定価格に納得したら媒介契約を締結し、仲介を依頼しましょう。
⑦売却活動をおこない、買主が見つかったら売買契約を結ぶ
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動です。
売却する不動産をインターネットや広告媒体に掲載し、広く購入希望者を募ります。
その後買主が決まり、契約条件がまとまったら売買契約を締結します。
⑧決済し買主へ引き渡した後、遺産分割をおこなう
買主から売却代金を受け取り、不動産を引き渡したら、売却完了です。
その後、受け取った売却代金を、遺産分割協議の内容に従って分割します。
このように不動産売却を伴う遺産分割は、たくさんの手続きをおこなう必要があります。
スムーズに手続きが進むよう、まずは流れを把握し、窓口を一本化するなどの工夫が必要になるでしょう。

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相続した不動産の売却前におこなう「遺産分割協議」とは?手順も把握しておこう

相続した不動産の売却前におこなう「遺産分割協議」とは?手順も把握しておこう

先ほどご紹介した流れのなかでも、とくに重要なのが「遺産分割協議」です。
遺産分割協議とは、相続が発生した際に、相続人全員で遺産分割についての話し合いをし、合意することです。
遺言書があり、誰がどの割合で相続するのか指定がある場合は、その遺言書の内容に従って相続します。
反対に遺言書がない場合は、民法の規定で決められた法定相続分に従い、相続人と相続割合を決定します。
ただし遺産分割協議をおこない、相続人全員が合意することで、遺言や法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることも可能です。
では遺産分割協議は、どのような手順でおこなえば良いのでしょうか?

①相続人を確定する

遺産分割協議をおこなうために、最初にやるべきことは「相続人」を確定させることです。
あとで他の相続人が出てきた場合、最初からやり直しになるため、慎重に進める必要があります。
遺言書がある場合はそれに従いますが、遺言書がない場合は、法定相続分に応じて確定します。
ただし離婚や再婚、養子縁組などをしている場合、親族も把握していないところで相続権が発生している場合もあるため、戸籍情報などを入念にチェックしましょう。

②相続財産を確定する

相続人の確認と同時に、どのような財産が、どれくらいあるのかについても確定させなければなりません。
ここで重要になるのが、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産についても確認することです。
不動産や預貯金以外に、ローンや隠れた借金はないかについても調査しましょう。

③財産目録を作成する

②で相続財産が確定したら「財産目録」を作成しましょう。
財産目録とは、相続財産の一覧表です。
財産目録は、プラスの財産とマイナスの財産を分けて記載するため、どちらの財産が上回るのかが一目で理解できます。
財産目録の作成は任意ですが、相続手続きをスムーズにおこなうためにも、作成しておいた方が良いでしょう。

④全員の同意を得る

①~③まですべての準備が整ったら、遺産分割協議をはじめます。
遺産分割協議は、相続人同士が集まって話し合いをするのがベストですが、必ずしも全員が集まる必要はありません。
法要などの機会に、ある程度話し合いを進めておきます。
遺産分割協議をおこなう際は、代表者が他の相続人の了承を得て「遺産分割協議書」を作成し、話し合った内容を記載しておきます。
相続人全員の合意が得られたら、全員分の署名・捺印をすることで、協議書が有効と認められます。
遺産分割協議書の具体的な書き方は、後ほどご説明いたします。

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相続した不動産の売却における遺産分割方法とは?

相続した不動産の売却における遺産分割方法とは?

遺産の分割方法には主に4つの種類があり、遺産分割協議ではこの分割方法を決める必要があります。
ここではそれぞれの分割方法の特徴を見ていきましょう。

①現物分割

現物分割とは、相続した遺産をそのままの形で相続することです。
たとえば車などは長男、現金は次男という具合に、他の資産に変換することなく相続します。
不動産を現物分割する場合は、土地を分筆するなど、複数の単独所有の不動産に分けたうえで相続します。
しかし不動産は分筆が難しい場合も多いため、不動産の相続ではあまり選択されません。

②換価分割

不動産の分割でもっとも用いられるのが、この換価分割です。
換価分割では、相続した遺産を一度売却するなどして、現金に換えてから分割します。
不動産の場合、それを売却して得た現金を、相続人どうしで分割します。
相続した不動産を今後使用する人がいない場合などでも、遺産を公平に分配できます。

③共有分割

共有分割とは、遺産を分割せずに、各相続割合に応じて、複数の相続人で共有することです。
たとえば相続人が3人いる場合、3分の1ずつの持分割合で不動産を相続します。
ただし共有持分にしてしまうと、相続人全員の承諾がないと売却できません。
トラブルになることも多いため、不動産の分割ではあまりおすすめできない方法となっています。

④代償分割

代償分割とは、相続人のうちの1人が代表して相続し、各相続分に見合った代償金を、他の相続人に支払って分割する方法です。
不動産のような分割しにくい遺産でも容易に分割できるため、公平性に長けています。
ただし代表者に代償金を支払うだけの資金力が必要なので、選択できるケースが限られてきます。
ここからはこの代償分割に着目して、より具体的なメリットやデメリット、手続き方法などを解説いたします。

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相続した不動産の売却における「代償分割」のメリットやデメリットとは?

相続した不動産の売却における「代償分割」のメリットやデメリットとは?

まずは代償分割にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、確認していきましょう。

代償分割のメリット

代償分割のメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
①平等に相続できる
代償分割のメリットは、代償金で精算することによって平等に相続できる点です。
現物分割では相続人のうち1人だけが不動産を取得すると、他の相続人と不平等になってしまいます。
代償分割では相続人全員が納得しやすいため、スムーズに遺産分割を進められるでしょう。
②不動産を残せる
大切な不動産を手放さずに残せる点も、代償分割ならではのメリットです。
換価分割にすると、売却することで不動産は第三者の手にわたってしまいます。
一方で代償分割であれば、思い入れのある不動産を後世に引き継いでいくことが可能です。
③節税につながる
代償分割であれば、譲渡所得税と相続税の節税につながる可能性があります。
換価分割する場合は不動産を売却して利益に応じて、譲渡所得税がかかります。
一方で代償分割は不動産を売却しないので、譲渡所得税が発生しません。
また土地に「小規模宅地等の特例」を適用できれば、相続税を節税できる可能性があります。
これは、相続した土地の評価額を8割減らせるという特例です。
不動産を早期売却する換価分割は適用対象外ですが、代償分割なら適用できる可能性があります。
④共有名義を避けられる
不動産を共有名義にしておくと、後にトラブルに発展することが多いです。
なぜなら共有名義の不動産を売却するときは、共有者全員の同意が必要になるからです。
代償分割の場合、不動産を相続する方の単独名義となるため、トラブルを防止できます。

代償分割のデメリット

一方で、デメリットとして挙げられるのは、以下の3点です。
①評価方法を巡って揉める
代償金の金額を決める際に、不動産の評価方法を巡って揉めるケースは少なくありません。
代償金の金額は、ある一定の方法を用いて、不動産の価値を評価することによって決まります。
遺産の評価方法にはさまざまな方法があり、どの評価方法にするかで、不動産の評価額は変動します。
代償金を支払う相続人は評価額を安くしたい一方、受け取る相続人は評価額を高くしたいと考えるため、評価方法に対する意見が分かれることが多いです。
お互いの利害が一致しないため、どうしてもトラブルが起こりやすくなってしまいます。
②まとまった資金が必要になる
代償分割で代償金を支払う相続人は、まとまった資金が必要になります。
現金が手元になければ他の財産で代替する方法もありますが、相続人全員の同意を得なければなりません。
資力がなければそもそも選択できない可能性がある点が、代償分割のデメリットといえます。
③贈与税がかかることがある
代償金は基本的に贈与税がかかりません。
しかし代償金の金額が高額すぎると、贈与とみなされ贈与税がかかる場合があります。
とくに法定相続分を超えた代償金になる場合は、注意が必要です。

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相続した不動産の売却における代償分割の手続き方法とは?

相続した不動産の売却における代償分割の手続き方法とは?

では実際に代償分割を用いて遺産分割をおこなうことになった場合、どのような手続きを踏めば良いのでしょうか?
ここでは代償分割をする際の遺産分割協議書の書き方、代償分割の計算方法と支払い方法を解説いたします。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書とは、遺産分割について相続人で話し合った内容をまとめた書面です。
この遺産分割協議書があることで、遺産分割協議の内容が証明され、内容どおりに分割を進めていくことができます。
遺産分割協議書にはある程度の形式があり、まずは基本情報として、以下の項目を記載しておきましょう。

  • 被相続人の情報(名前・死亡日・住所・本籍など)
  • 遺産の所在地・地番・地目・地積
  • 日付、全相続人の住所・氏名・実印での押印

これらは相続人と被相続人、相続する遺産の情報を特定するために必要な項目です。
遺産分割協議をおこなう場合は、事前に調べておくと話し合いもスムーズに進むでしょう。
さらに基本情報にくわえて、下記の旨も記載しておく必要があります。

  • 共同相続人の氏名と遺産分割の協議をした旨
  • 財産を相続する方の氏名と相続する旨
  • 代償分割する旨といつまでに支払うかの期日

これらの情報を記載しておくことで、遺産分割協議をおこなう理由と分割方法を明確にすることができます。
とくに代償分割をおこなう場合は、代償分割をする旨とその支払い期日を明記しておきましょう。
この理由が記載されていないと、遺産分割ではなく贈与とみなされ、贈与税がかかる可能性があるため、注意しましょう。
遺産分割協議書の作成が完了し、その内容に相続人全員の同意が得られたら、協議が成立したことを証明するため、全員分の署名と実印での押印をおこないます。
さらに協議書を相続人の人数分だけ作成し、各自1通ずつ保有しておきましょう。

代償金の計算方法

次に代償分割で支払う代償金の計算方法を確認していきましょう。
代償金は不動産の評価額を基準にして、法定相続分で分割して計算します。
たとえば評価額4,000万円の不動産を、被相続人Aから子どもB・Cが相続したケースを考えてみましょう。
まず子どもが複数いるときは、遺産を均等に分ける必要があります。
それぞれが相続できる遺産の額は、4,000万円を等分した「4,000万円×1/2=2,000万円」です。
よって代償分割でBが不動産を取得したとすると、Bは不動産を取得する代わりに、Cに代償金として2,000万円を支払う必要があります。
また代償金の計算方法だけでなく、不動産の評価額の計算方法にも注意が必要です。
代償分割においては、不動産の評価額は固定資産税評価額・路線価・公示地価・実勢価格などを参考にして計算します。
ここで注意しなければならないのは、評価方法によって評価額が変わってくることです。
多くの場合、代償金を支払う側は評価額を低くしたいと考え、支払われる側は評価額を高くしたいと考えるものです。
そのため不動産の評価方法を巡って、トラブルになってしまう可能性があります。
どの価格を参考にするのか、お互いのバランスがとれるように、相続人全員でしっかり相談したうえで決定しましょう。

代償金の支払い方法

代償金は一括払いでも分割払いでも、支払うことが可能です。
手元にまとまった資金があれば一括払いできますが、余裕がない場合もあるでしょう。
そのような場合、他の相続人の同意を得られれば、分割払いにできます。
分割払いにする場合は、遺産分割協議書にその旨を明記しておきましょう。
ただし分割払いにする場合、途中で代償金の支払いが滞る可能性があるため、受け取る側は注意が必要です。
不動産を承継する相続人に現金がないときは、他の不動産や未公開株式などで精算する選択肢もあります。
この場合も、評価方法を巡ってトラブルになりやすいため、注意しましょう。

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相続した不動産の売却や遺産分割協議における注意点とは?

相続した不動産の売却や遺産分割協議における注意点とは?

では最後に、相続した不動産の売却や遺産分割協議について、気を付けておきたい注意点をご紹介いたします。
①遺産分割協議は原則的にやり直せない
遺産分割協議をして決めた内容は、原則やり直しはできないと考えておきましょう。
なぜなら有効に成立した遺産分割を解除して分割すると、贈与税や譲渡所得税などの課税を受ける場合があるからです。
もし新たに被相続人の所有する土地が見つかった場合は、その土地に対する遺産分割協議だけをおこない、全体のやり直しを回避しましょう。

②遺産分割協議後に遺言書が見つかったら遺言書の内容に従う

遺産分割協議後に遺言書が発見された場合は、遺言書の内容に従わなければなりません。
相続した不動産の売却活動を進めていたとしても、遺言と異なる内容の遺産分割協議をしていた場合は、売却活動を中止する必要があるのです。
ただし全員の合意により遺言書と異なる遺産分割協議が成立した場合は、その遺産分割協議は有効になります。

③代償金も加味して相続税を計算する

代償分割をおこなった場合は、代償金も加味して相続税を計算しましょう。
代償金を支払った相続人は、遺産の相続税評価額から代償金を差し引いて、相続税課税対象額を算出します。
反対に代償金を受け取った相続人は、受け取った代償金が相続税課税対象額となります。

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まとめ

相続した遺産には主に現物分割・換価分割・共有分割・代償分割の4つの分割方法があります。
そのなかの代償分割は、1人が代表して遺産を相続する代わりに、他の相続人に法定相続分に相当する代償金を支払うことで、精算する方法です。
不動産を残しつつ遺産を平等に分割できますが、代表者に資金力がなければ代償金を支払えず、不動産の評価方法を巡ってトラブルになることもあります。
遺産分割協議書の書き方や相続税の計算方法など、手続きも通常の遺産分割とは異なるので、今回ご紹介した内容を参考に、分割を進めていきましょう。
もし不明点や不安なところがあれば、専門家に相談しながら進めるのもおすすめです。
私たち「ジョージ不動産」では、相続した不動産についてお悩みの方へ、経験豊富なスタッフによるアドバイスをおこなっています。
南森町・大阪天満宮・天神橋商店街・天満・北区エリア周辺で不動産を相続する予定のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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部署:不動産部

関西外国語大学卒業後、国内大手観光業運営会社に入社する。
日本のおもてなしの心の偉大さを学ぶ。約6年間サービスに対する考え方や、技術を学ぶ。
その後、大手不動産会社に転職。不動産仲介や購入・売却の分野に携わる。
培ったサービス力を不動産業に活かし、年間約100件以上の不動産購入や売却案件のサポートを行ない、現在までに約1000件以上の案件をまとめてきた実績を持つ。リピーターや大手法人の顧客も多数抱える。

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